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文献詳細

雑誌文献

生体の科学67巻1号

2016年02月発行

文献概要

特集 記憶ふたたび

8.霊長類大脳皮質における長期記憶の情報処理メカニズム

著者: 竹田真己1

所属機関: 1順天堂大学大学院医学研究科認知神経科学教室

ページ範囲:P.37 - P.41

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 これまで多くの神経心理学的研究,電気生理学的研究や脳機能イメージング研究の結果から,脳の各領域が担う認知機能の情報処理についての理解が進んできた。しかし,こうした各脳領域単位の機能的役割だけでは認知機能の脳内メカニズムの全容が明らかになったとは言い難く,皮質カラムに存在する局所神経回路から脳領域間にまたがる神経回路まで,異なる空間スケールの神経回路が担う情報処理を解明する必要がある。この異なる空間スケールの神経回路が担う情報処理は個々に独立したものではなく,相互に密接にかかわっていると考えられる。すなわち,ニューロンの発火特性と他ニューロンへのシナプス結合特性が局所神経回路を構成することで,その脳領域に割り当てられた機能を実現し,更に脳領域間で情報連絡をすることで認知機能を実現するという仮説である。
 記憶システムに焦点を絞って考えると,内側側頭葉を外科的に切除したために宣言的記憶に障害が起こったH.M.氏の報告1)以来,脳損傷患者や動物モデルを用いた神経心理学的研究が盛んに行われ,特定の脳領域が記憶の形成に果たす役割が調べられてきた。こうした研究から,宣言的記憶は最終的に側頭葉連合野に貯蔵されるという仮説が提唱されている2)。本稿では,視覚的長期記憶の貯蔵庫である側頭葉に焦点を絞り,宣言的記憶の一種である視覚性連合記憶の神経メカニズムについて,異なる空間スケールの神経回路が担う情報処理,およびスケールの異なる回路が機能連絡するための作動原理について述べる。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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