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特集 記憶ふたたび
文献概要
“ストレス社会”と呼ばれる現代において,生体への重篤なストレスの負荷はうつ病や不安障害など多くの精神神経障害の引き金とされている。それらの多くは,人生の早期に発症して生涯治療が必要になるため,大変大きな社会的問題とされている。そのため,ストレスを克服することは,“ストレス社会”に生きるわれわれにとって重要な命題の一つである。しかしながら,生体に対するストレスの影響を客観的な指標で示すことは非常に困難である。実際に,ストレスを引き起こすストレス刺激(ストレッサー)は,物理的なものから心理的なものまで様々なレベルで数多く存在する。
現在のところ,記憶や認知機能などにおいて,ストレスは認知機能の生体パフォーマンスを向上させたり,逆に低下させたりと,生体への影響を大きく左右することが知られている。実際,適度なレベルのストレス刺激は,認知機能向上などに対し正の効果を示す。一方で,閾値を超えたトラウマ体験や慢性的な生体へのストレス刺激は,うつ病や認知症など,様々な脳認知機能障害を引き起こす。このように,ストレス刺激の強度や負荷時間の変化が認知・記憶機能へ与える影響は逆U字型の関係性を示すため,適度なストレスレベルを維持することが生命維持に必要である(図1)1-3)。
現在のところ,記憶や認知機能などにおいて,ストレスは認知機能の生体パフォーマンスを向上させたり,逆に低下させたりと,生体への影響を大きく左右することが知られている。実際,適度なレベルのストレス刺激は,認知機能向上などに対し正の効果を示す。一方で,閾値を超えたトラウマ体験や慢性的な生体へのストレス刺激は,うつ病や認知症など,様々な脳認知機能障害を引き起こす。このように,ストレス刺激の強度や負荷時間の変化が認知・記憶機能へ与える影響は逆U字型の関係性を示すため,適度なストレスレベルを維持することが生命維持に必要である(図1)1-3)。
参考文献
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