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特集 記憶ふたたび
13.匂いの学習記憶─覚醒睡眠サイクルと情動の役割
著者: 山口正洋1
所属機関: 1東京大学大学院医学系研究科細胞分子生理学教室
ページ範囲:P.61 - P.65
文献購入ページに移動 生き物にとって嗅覚は,生存にかかわる行動を左右する根源的な感覚である。動物は匂いをたよりにえさを探し,交尾相手を見つけ,捕食者から身を守る。このような匂いに基づいた行動には先天的に獲得されたものもあるが,動物は変わりゆく匂い環境に適応して適切な行動をとるよう学習を繰り返すことで,生存のチャンスを増大させている。嗅覚の学習記憶は,個体維持,種の繁栄に欠くべからざるものである。
感覚入力が行動に直結するという特性に対応して,嗅覚入力が行動発現に至る神経回路は他の感覚系にくらべてより直接的である。また,嗅覚系では大人になっても新しい神経細胞が生まれているなど,非常に高い可塑性を有している。これらのことから嗅覚神経系は,外界の状況変化に適応するため,神経回路がどのように可塑的に変化して新たな行動を学習記憶しているのかを明らかにするうえで非常によいモデル系と考えられる。
感覚入力が行動に直結するという特性に対応して,嗅覚入力が行動発現に至る神経回路は他の感覚系にくらべてより直接的である。また,嗅覚系では大人になっても新しい神経細胞が生まれているなど,非常に高い可塑性を有している。これらのことから嗅覚神経系は,外界の状況変化に適応するため,神経回路がどのように可塑的に変化して新たな行動を学習記憶しているのかを明らかにするうえで非常によいモデル系と考えられる。
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