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特集 記憶ふたたび
14.Hippocampal region CA2:At the interface of memory and social behavior─海馬のCA2領域は,記憶と社会的行動のつなぎ目として働く
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所属機関: 1 2
ページ範囲:P.66 - P.70
文献購入ページに移動 海馬のなかで,歯状回やCA3と呼ばれる部分は,どこで何がいつ起こったかの記憶(エピソード記憶)にかかわり,記憶する対象を細かく峻別したり,逆に不完全な記憶を補って想起したりするのに重要な役割を果たすことがわかってきている。一方,海馬が,相手との社会的関係の記憶にどのようにかかわっているのかは明らかでなかった。CA2領域は,海馬の他の領域とだけではなく,視床下部の室傍核や乳頭上核からの入力を受け,中隔核と双方向的に結合している。これらの核は,社会的行動とかかわりが深いバソプレッシン,オキシトシン,サブスタンスPなどを発現していることから,CA2の社会的記憶とのかかわりが示唆された。実際,遺伝子操作を使って,CA2でのバソプレッシン受容体を取り除いたり,CA2の出力を遮断したマウスは,空間や状況の学習には全く障害がなかったが,これまでに出会ったことがあるマウスと,そうでないマウスを区別するための社会的記憶が障害された。社会的行動に障害を伴う精神疾患において,海馬の活動異常やCA2内の神経細胞の異常がみられていることから,人間においても,CA2と社会的記憶とのかかわりが示唆されている。
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