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文献詳細

雑誌文献

生体の科学67巻1号

2016年02月発行

特集 記憶ふたたび

16.ソングバードの音声学習とその神経基盤

著者: 渡邉大1

所属機関: 1京都大学大学院医学研究科生体情報科学講座

ページ範囲:P.76 - P.80

文献概要

 ヒトや動物は学習により様々な知識や能力を獲得するが,学習の分類も様々である。学習に他者が介在するかどうかという観点から,個体学習と社会学習という分類が可能である。前者は,洞察や試行錯誤といった個人の経験のみに基づく学習であり,後者は,他者の行動の観察や模倣,教育といった社会的な接触により獲得される。一から独力で習得すると時間や労力がかかる高度な技能や知識でも,社会学習を介することで比較的容易に獲得できる。更に,言語や生活習慣のように社会学習を通じて獲得される能力や行動は,同時代の集団だけではなく親から子へと世代を超えて伝搬されるため,子孫の認知・行動面にも大きな影響力を持つ。しかしながら,このように文化的継承に重要な役割を果たす社会学習の生物学的な基盤については不明な点が多い。
 その一因として,適当な哺乳類モデル動物が存在しないことが挙げられる。社会学習がヒトに固有の学習形態というわけではない。野生動物の詳細な観察から,ヒト以外の動物の行動の中にも,個体間の情報伝達を介して他の個体から学ぶものがあると考えられている。しかしながら,通常の実験室の環境では,哺乳類モデル動物を使ってこのような社会学習を観察することは非常に困難である。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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