icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学67巻1号

2016年02月発行

文献概要

解説

がんシグナルとmicroRNA

著者: 小根山千歳1

所属機関: 1愛知県がんセンター研究所感染腫瘍学部

ページ範囲:P.81 - P.85

文献購入ページに移動
 microRNA(miRNA)は,様々な細胞機能の調整に関与している短鎖ノンコーディングRNAである。miRNA遺伝子はpri-miRNAとして転写されたのち,Drosha/DGCR8により切断されpre-miRNAとなる。これがDicerによって切断されて生じる22塩基対前後の二本鎖断片のうち,一方の鎖がRNA-induced silencing complex(RISC)に取り込まれ,成熟miRNAとして標的mRNAを認識し,その翻訳や分解を制御する1)。ヒトでは2,500種以上のmiRNAが同定され,その数は今も増加している。がんにおいて,様々なmiRNAの発現が増加,あるいは減少していることから,miRNAの発現プロファイル解析は,がんの診断,分類,悪性度判定に有用であると考えられ,活発に研究されている。では,なぜがんにおいてこれらmiRNAの異常が生じるのか? また,そのがん形質に対する寄与は何であろうか? これまでに,様々なmiRNAのがん遺伝子,あるいはがん抑制遺伝子としての機能が明らかになってきた。その重要なメカニズムとして,miRNAによるシグナル伝達関連遺伝子の発現制御が挙げられる。本稿では,代表的ながん原遺伝子産物Srcを介したシグナルを制御するmiRNA群を中心に,われわれの知見を含む最新の研究を紹介する。

参考文献

. 15:509-524, 2014
. 3:31-56, 1987
. 22:337-358, 2003
. 1287:121-149, 1996
. 23:7928-7946, 2004
. 266:24249-24252, 1991
. 19:5636-5642, 2000
. 13:1-12, 2008
. 30:3489-3501, 2011
. 6:857-866, 2006
. 10:457-468, 2002
. 25:6416-6422, 2006
. 307:1098-1101, 2005
. 47:810-818, 2008
. 9:550-562, 2009
. 70:4666-4675, 2010
. 70:5184-5193, 2010
. 24:447-463, 2010
. 8:e80300, 2013
. 71:6450-6462, 2011
. 71:5765-5778, 2011
. 4:470-480, 2004
. 379:91-96, 1996
. 5:51-63, 2005
. 31:1623-1635, 2012
. 18:11-22, 2010
. 4:e8003, 2009
. In press
. 72:6435-6446, 2012
. 124:2236-2242, 2009
. 11:5, 2012
. 20:187-199, 2011
. 3:1011-1025, 2012
. 9:e105570, 2014
. 18:74-82, 2011
. 71:2611-2621, 2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?