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がんシグナルとmicroRNA
著者: 小根山千歳1
所属機関: 1愛知県がんセンター研究所感染腫瘍学部
ページ範囲:P.81 - P.85
文献購入ページに移動 microRNA(miRNA)は,様々な細胞機能の調整に関与している短鎖ノンコーディングRNAである。miRNA遺伝子はpri-miRNAとして転写されたのち,Drosha/DGCR8により切断されpre-miRNAとなる。これがDicerによって切断されて生じる22塩基対前後の二本鎖断片のうち,一方の鎖がRNA-induced silencing complex(RISC)に取り込まれ,成熟miRNAとして標的mRNAを認識し,その翻訳や分解を制御する1)。ヒトでは2,500種以上のmiRNAが同定され,その数は今も増加している。がんにおいて,様々なmiRNAの発現が増加,あるいは減少していることから,miRNAの発現プロファイル解析は,がんの診断,分類,悪性度判定に有用であると考えられ,活発に研究されている。では,なぜがんにおいてこれらmiRNAの異常が生じるのか? また,そのがん形質に対する寄与は何であろうか? これまでに,様々なmiRNAのがん遺伝子,あるいはがん抑制遺伝子としての機能が明らかになってきた。その重要なメカニズムとして,miRNAによるシグナル伝達関連遺伝子の発現制御が挙げられる。本稿では,代表的ながん原遺伝子産物Srcを介したシグナルを制御するmiRNA群を中心に,われわれの知見を含む最新の研究を紹介する。
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