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文献詳細

雑誌文献

生体の科学67巻1号

2016年02月発行

文献概要

仮説と戦略

誘導型皮膚関連リンパ組織

著者: 小野さち子1 椛島健治1

所属機関: 1京都大学大学院医学研究科皮膚生命科学講座皮膚科学分野

ページ範囲:P.86 - P.90

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 ヒトや齧歯類において,鼻咽頭,腸管,肺などの外界と接する粘膜上皮では,T/B細胞領域を伴うリンパ組織様構造が局所に認められ,これを粘膜関連リンパ組織(mucosa-associated lymphoid tissue;MALT)と呼ぶ。このうち肺では,MALTは慢性炎症や感染症への生体反応として誘導され,これを,誘導型肺気管支関連リンパ組織(inducible bronchus-associated lymphoid tissue;iBALT)と呼ぶ。これらのリンパ組織様構造は,粘膜から侵入した抗原に対し,局所における直接かつ迅速なT/B細胞性免疫の誘導を行う1)
 1980年代に,皮膚においても皮膚関連リンパ組織(skin-associated lymphoid tissue;SALT)という概念が提唱され,皮膚局所でも抗原の獲得,プロセシング,提示が可能であり,皮膚は単に二次リンパ組織で生じた炎症反応の舞台ではなく,炎症反応開始の主座であるとの可能性が示唆された2-4)。しかしながら,皮膚では慢性アトピー性皮膚炎のような強い炎症下においても,T/B細胞領域を伴う濾胞様構造は誘導されにくく,SALTの実態は不明であった5)

参考文献

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. 167:1053-1066, 2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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