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特集 細胞の社会学─細胞間で繰り広げられる協調と競争
特集「細胞の社会学─細胞間で繰り広げられる協調と競争」によせて フリーアクセス
著者: 藤田恭之1
所属機関: 1北海道大学遺伝子病制御研究所分子腫瘍分野
ページ範囲:P.94 - P.94
文献概要
様々なシグナル伝達経路や細胞間コミュニケーション制御因子の解明と共に,まず初めに研究が進展してきたのが細胞協調現象である。例を挙げると,細胞間接着による細胞増殖の接触阻害,神経細胞とグリア細胞の相互作用,膵ランゲルハンス島β細胞から分泌されたインスリンに肝細胞が反応,線維芽細胞から分泌される成長因子によって上皮細胞が増殖など,細胞同士が互いの機能を様々な形で協調的に制御していることが認められてきた。一方,性質の異なる同種の細胞間で,互いに生存を争う細胞競合現象が起こることが,Morataらによってショウジョウバエ上皮組織において最初に報告された(Morata G, Ripoll P:
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