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文献詳細

雑誌文献

生体の科学67巻2号

2016年04月発行

文献概要

特集 細胞の社会学─細胞間で繰り広げられる協調と競争 Ⅱ.上皮細胞の協調を制御する分子メカニズム

細胞間接着を超えて細胞社会を伝搬するERK MAPキナーゼシグナル伝達

著者: 青木一洋1 平塚徹2 松田道行2

所属機関: 1京都大学大学院医学研究科時空間情報イメージング拠点 2京都大学大学院医学研究科病態生物医学

ページ範囲:P.132 - P.136

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 細胞は周囲の様々な刺激を受け取り,細胞内のシグナル伝達反応を介して,最終的に表現型として出力する。いわば,入力→システム→出力のシステム部分に相当するのが“細胞内シグナル伝達系”である。細胞内シグナル伝達系は,分子と分子の結合やリン酸化などの酵素反応といった物理化学的な反応の連鎖である。細胞は形質膜で他の細胞とは隔てられており,細胞間のシグナル伝達は,ギャップジャンクションを介したイオンの伝達や物理的な力を介した伝達,または分泌因子の拡散を介した伝達が考えられてきた。しかし,このような細胞間伝搬により,細胞内シグナル伝達系の情報がどのようにして隣の細胞に伝搬するのか,また,その生理的な意義についてはほとんど検証されていなかった。筆者らは,古典的なMAPキナーゼであるERK分子の“活性情報”が,細胞間へと伝搬することを培養細胞やトランスジェニックマウスを用いて見いだした1,2)。そこで,みえてきた新しいシグナル伝達の細胞間伝搬とその意義について議論する。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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