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特集 脂質ワールド Ⅰ.脂質を見る技術の革新
最先端リピドミクスで膜リン脂質を測定する
著者: 中西広樹1
所属機関: 1秋田大学生体情報研究センター
ページ範囲:P.193 - P.197
文献購入ページに移動 近年,脂質研究に対する注目度が高い(図1)。脂質は総数にして10万種とも100万種とも推定されている。この数は,基本骨格,極性基,脂肪酸側鎖,結合様式,位置異性体,酸化体など複数のカテゴリーを掛け合わせて推定されており,実証データは存在しない。脂質の定義をどこまであてはめるかによっても変わるが,生体環境を考慮するとこのくらいの分子数が存在しても不思議ではない。むしろ,多種多様な脂質成分を食事から摂取しているヒトであれば想像もしない脂質分子がもっと存在したとしてもおかしくはない。
分析技術が発展した現在であっても,報告のある脂質分子はせいぜい5,000分子程度である。しかも,これは多数の研究室のデータを集約したもので,一研究室当たりだとよくて数百-1,000分子程度である。しかし,5,000分子程度であっても,体を構成するしくみを理解するのには概ね十分である。より高尚な機能を理解・解明するにはまだまだたくさんの未知分子が発見されずに眠っていると思われるが,残りの995,000分子種すべてが膜脂質以外の機能を有しているとはとても考えづらい。そのため,ほとんどの脂質分子は食事により取り込まれたもの,もしくはそれから代謝変換されたものか,ストレスなどの環境の変化により生じた分子だと考えるほうが理解しやすい。
分析技術が発展した現在であっても,報告のある脂質分子はせいぜい5,000分子程度である。しかも,これは多数の研究室のデータを集約したもので,一研究室当たりだとよくて数百-1,000分子程度である。しかし,5,000分子程度であっても,体を構成するしくみを理解するのには概ね十分である。より高尚な機能を理解・解明するにはまだまだたくさんの未知分子が発見されずに眠っていると思われるが,残りの995,000分子種すべてが膜脂質以外の機能を有しているとはとても考えづらい。そのため,ほとんどの脂質分子は食事により取り込まれたもの,もしくはそれから代謝変換されたものか,ストレスなどの環境の変化により生じた分子だと考えるほうが理解しやすい。
参考文献
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5)木村洋貴,小藤智史,佐々木雄彦:イノシトールリン脂質とイノシトールリン脂質代謝酵素.横溝岳彦,他編:遺伝子医学MOOK24 最新生理活性脂質研究,pp218-231.メディカルドゥ,大阪,2013
6)田口 良,中西広樹:微量脂質成分測定のための質量分析技術の現状.佐々木雄彦,他編:実験医学増刊 分子から個体へ深化する脂質生物学,pp20-27.羊土社,東京,2010
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