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文献詳細

雑誌文献

生体の科学67巻3号

2016年06月発行

文献概要

特集 脂質ワールド Ⅱ.細胞膜と脂質

スクランブラーゼによる細胞膜リン脂質非対称性の崩壊

著者: 鈴木淳1

所属機関: 1大阪大学免疫学フロンティア研究センター免疫・生化学

ページ範囲:P.208 - P.213

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 細胞膜を構成するリン脂質は非対称性を有しており,ホスファチジルセリン(PS)は脂質二重膜の細胞質側に限局して存在している。この非対称的な分布は,フリッパーゼ(P4-type ATPase)によって担われており,ATPのエネルギーを用いてPSを細胞膜の内側に輸送している(図1)。一方,この非対称性は生体内の様々な局面において崩壊し,PSは細胞表面に露出する。活性化した血小板において細胞表面に露出したPSは,血液凝固因子が活性化するための足場として機能し,アポトーシス細胞において露出したPSは,マクロファージなどの食細胞によって認識,貪食されるためのeat-me signalとして機能する。これらPSの細胞表面への露出には,リン脂質を区別なく輸送するスクランブラーゼがかかわるとされていたがその分子的実体は長らく不明であった(図1)。本総説においては,筆者らが最近同定したリン脂質スクランブルを実行する膜タンパク質の機能を中心に概説する。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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