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文献詳細

雑誌文献

生体の科学67巻3号

2016年06月発行

文献概要

特集 脂質ワールド Ⅲ.新規脂質メディエーターと受容体

C型レクチン受容体ヒトMincleによるコレステロール結晶の認識

著者: 清武良子12 石川絵里1 山﨑晶1

所属機関: 1九州大学生体防御医学研究所分子免疫学分野 2福岡歯科大学総合医学講座眼科学分野

ページ範囲:P.237 - P.241

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 マクロファージや好中球,樹状細胞に発現する自然免疫受容体は,病原体が侵入した際,病原体には存在するが自己の細胞にはみられないような病原体関連分子パターン(pathogen-associated molecular patterns;PAMPs)と呼ばれる繰り返し構造を認識することが知られており,一般にパターン認識受容体(pattern recognition receptors;PRRs)と呼ばれている。近年,PRRsは非自己である病原体のほかにも,自己の死細胞や損傷された細胞から放出されるダメージ関連分子パターン(damage-associated molecular patterns; DAMPs)も認識することが明らかになってきており,自己,非自己双方に起因する自然免疫応答を引き起こすことで,生命の恒常性維持に重要な役割を果たしていると考えられる1)
 これらPRRsのなかで,C型レクチン受容体(C-type lectin receptors;CLRs)は,Ca2+依存的に糖鎖を認識すると考えられているが,近年,タンパク質や脂質,結晶など広く多様なリガンドを認識することが明らかとなってきつつある2,3)。macrophage-inducible C-type lectin(Mincle,別名Clec4e/Clecsf9)は,ストレスに伴ってマクロファージや樹状細胞に発現が誘導されるCLRであり,筆者らは,MincleがITAM(immunoreceptor tyrosine-based activation motif)を有するアダプター分子Fc受容体γ鎖(FcRγ)と会合し,シグナルを伝達することを見いだした4)。また,Mincleが結核菌の細胞壁に含まれる免疫賦活物質である糖脂質,TDM(trehalose 6,6'-dimycolate)や,病原性真菌マラセチアの成分である糖脂質をリガンドとして認識することを明らかにした5,6)。一方,Mincleは病原体だけでなく死細胞より放出されるタンパク質も認識することがわかっているが4),自己の脂質をDAMPsとして認識するかは不明であった。

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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