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文献詳細

雑誌文献

生体の科学67巻4号

2016年08月発行

特集 認知症・神経変性疾患の克服への挑戦

Ⅲ.新たな技術開発によるチャレンジ

HGFによる筋萎縮性側索硬化症(ALS)に対する治療法の開発

著者: 青木正志1 割田仁1 鈴木直輝1 加藤昌昭1

所属機関: 1東北大学大学院医学系研究科神経内科

ページ範囲:P.344 - P.348

文献概要

 筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis;ALS)は主に中年期以降に発症し,上位および下位運動ニューロンに選択的かつ系統的な障害を来す神経変性疾患である。経過は症例により異なるが,片側上肢の筋萎縮に始まり,反対側上肢,両下肢へ筋萎縮が進行して,その間に言語障害,嚥下困難などの球麻痺症状および呼吸筋麻痺が加わる経過をとることが多い。人工呼吸器による呼吸管理を行わないと,発症後2-5年で呼吸不全のために死亡に至ることが多く,ALSは神経疾患のなかで最も過酷な疾患とされる。有効な治療薬や治療法が限られており,早期に病因の解明とその成果に基づく基礎研究から臨床への橋渡し研究(トランスレーショナルリサーチ)による治療法の開発が求められている。筆者らはALSラットに対してヒト型リコンビナント肝細胞増殖因子(hepatocyte growth factor;HGF)タンパク質の髄腔内持続投与を行うことにより,明確な治療効果を確認した。更に,マーモセットおよびカニクイザルに対するHGFタンパク質の髄腔内持続投与による安全性(毒性),および薬物動態試験などの非臨床試験を行った。これらの結果に基づき,東北大学病院においてALS患者に対してファースト・イン・ヒューマン試験である第Ⅰ相試験を行い,髄腔内持続投与による安全性や薬物動態が確認された。まもなく有効性を確認すべく第Ⅱ相試験を開始する。

参考文献

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10)クリングルファーマ株式会社:http://www.kringle-pharma.com/
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12)橋渡し研究加速ネットワークプログラム ネットワーク構築事業:http://www.mextnw.hosp.tohoku.ac.jp/

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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