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文献詳細

雑誌文献

生体の科学67巻4号

2016年08月発行

文献概要

特集 認知症・神経変性疾患の克服への挑戦

認知症・神経変性疾患克服への将来展望

著者: 高橋良輔1

所属機関: 1京都大学大学院医学研究科臨床神経学

ページ範囲:P.354 - P.355

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 厚生労働省の大規模研究によれば,2012年時点の65歳以上の認知症の有病率は15%であり,全国の認知症高齢者数は約462万人と推計された。また,認知症を発症する前段階とみられる軽度認知障害の高齢者も約400万人と推計され,これらを合わせた数字から“認知症800万人時代”とマスコミに大きく取り上げられるようになった。
 一方,どちらかというと患者数が少ない病気として扱われてきた神経変性疾患も,認知症の前駆状態であったり合併したりすることが広く認識されてきた。パーキンソン病でのちに認知症を発症したものは“認知症を伴うパーキンソン病”と呼ばれてきたが,その認知機能障害の症状や大脳の病理所見はレビー小体型認知症とほぼ同じであり,筋萎縮性側索硬化症と前頭側頭型認知症は同じ疾患スペクトラムに入ることがコンセンサスになってきた。また,アルツハイマー病,進行性核上性麻痺,大脳皮質基底核変性症などの疾患はタウが蓄積するという共通点がある。すなわち,common diseaseである認知症克服の戦略として,rare diseaseである神経変性疾患の治療法開発を行うことが有効と考えることができる。本特集ではそのような観点から,現在,神経変性疾患・認知症の治療法開発への第一線での取り組みを知ることができる。抗体療法,遺伝子治療,iPS創薬,iPS細胞移植と疾患修飾治療となり得る新規治療法の開発が進んでおり,これまではとても考えられなかったような治療が遠くない未来に実現する期待を感じさせる。

参考文献

. 367:795-804, 2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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