文献詳細
増大特集 病態バイオマーカーの“いま”
Ⅱ.腎疾患
文献概要
慢性腎臓病(CKD)とは,タンパク尿または腎機能低下(糸球体濾過量〔GFR〕が60mL/分/1.73m2以下)が3か月以上持続する病態である1,2)。一方,バイオマーカーとは,「客観的に測定・評価が可能で,生物学的・病理学的プロセスないし治療介入に対する薬理学的反応性の指標となるもの」と定義される3)。ここで,タンパク尿・アルブミン尿,糸球体濾過量およびそれを反映する血液検査値は,測定が容易であり,腎機能・腎障害の程度を反映すると共に,それらが治療のターゲットや予後予測因子としても有用であることが様々な疫学データによって示されており,バイオマーカーの条件を満たしていると考えられる。一方,CKDを来す各種病態の発症,進展,あるいはその修復に伴って変化し,腎障害の程度・予後をある程度予測できる検査値もある(表1)。多くはまだ検証不十分であるが,近年研究・開発が進んでおり,今後の展開が期待される。幾つかは,CKD全体のバイオマーカーとしての役割もありそうである。これらも広い意味のCKDのバイオマーカーと言えるが,本稿では,CKDに共通するマーカーとして確立している,尿タンパク・アルブミン,血清クレアチニン・シスタチンC,内因性GFR(推測値)を取り上げ,概説する2,4)。各マーカーの詳細についてはそれぞれの項目を参照されたい。
参考文献
1)日本腎臓学会編:CKD診療ガイド2012.東京医学社,東京,2012
. 3(suppl):2013
. 69:89-95, 2001
4)日本腎臓学会編:エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2013.pp5-8.東京医学社,東京,2013
. 17:352-358, 2013
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