生体の科学67巻5号

2016年10月発行

増大特集 病態バイオマーカーの“いま” Ⅵ．精神・神経疾患 1．気分障害

気分障害の血液バイオマーカーとしてのBDNFおよびproBDNF

著者： 橋本謙二¹

所属機関： ¹千葉大学社会精神保健教育研究センター病態解析研究部門

ページ範囲：P.480 - P.481

　脳由来神経栄養因子（BDNF）は，脳だけでなく血液にも高濃度に存在する。これまでの多くの研究から，血液中のBDNF濃度は，うつ病や双極性障害（躁うつ病）の血液バイオマーカーとして有用であることが知られている。しかしながら，血液中には成熟型BDNFだけでなく，前駆体proBDNFも高濃度に存在することから，これらを区別して測定することが重要である。本稿では，バイオマーカーとしての三つのBDNF関連タンパク質（成熟型BDNF，前駆体proBDNF，BDNF pro-peptide）について議論したい。

参考文献

. 64：341-357, 2010

. 266：285-287, 2016

. 265：83-84, 2015

. 291：9872-9881, 2016