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特集 時間生物学の新展開
特集「時間生物学の新展開」によせて
著者: 野々村禎昭1
所属機関: 1東京大学
ページ範囲:P.506 - P.506
文献購入ページに移動 今回は特集に「時間生物学」(Chronobiology)を取り上げた。時間生物学とは,Alain Reinbergによれば生物の持つ時間構造とその変動を研究する学問と定義されている。実際には時間生物学という名称が用いられたのは比較的新しく,1960年代くらいからである。それまでは,Biological clock(生物または体内時計,わが国では体内時計が使われていたが,英語にはこれに相当するものはみられない)がよく用いられた。一方,Circadian clock(概日時計)はおおよそ1日(約24時間)で繰り返す生物が持つ時計機構であるが,実際の研究対象であり,本特集でも多くの著者がこの言葉を用いている。現実には概月,概年現象もあり,時間生物学はそれらをひっくるめた内容である。
de Marianによって時間生物学の最初の論文は1729年に発表されたが,これは植物に関する概日リズムの研究であった。ある周期である行動を繰り返すのはリズムを持つからであるが,これはあらゆる生物が持っているが,実験の容易さから植物が初期の研究に多く使われた。概日リズムは地球の自転による環境変化によるものであろうという観念を打破し,生物の時間構造には遺伝性があると最初に示したのは1953年Bünningによってである。やがて分子生物学の進展は,多くの時間生物学関連遺伝子を確定していった。
de Marianによって時間生物学の最初の論文は1729年に発表されたが,これは植物に関する概日リズムの研究であった。ある周期である行動を繰り返すのはリズムを持つからであるが,これはあらゆる生物が持っているが,実験の容易さから植物が初期の研究に多く使われた。概日リズムは地球の自転による環境変化によるものであろうという観念を打破し,生物の時間構造には遺伝性があると最初に示したのは1953年Bünningによってである。やがて分子生物学の進展は,多くの時間生物学関連遺伝子を確定していった。
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