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文献詳細

雑誌文献

生体の科学67巻6号

2016年12月発行

文献概要

特集 時間生物学の新展開

シアノバクテリアの概日時計タンパク質KaiCによる計時機構

著者: 伊藤(三輪)久美子1 村中智明1 近藤孝男1

所属機関: 1名古屋大学大学院理学研究科生命理学専攻計時機構グループ

ページ範囲:P.507 - P.511

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 地球に生息する生物の多くは約24時間周期の時計(概日時計)を持ち,24時間周期の昼夜環境下で巧みに生活している。どの生物種においても概日時計は生体内に生成されるリズムを基盤とし,以下の三つの条件を満たす1)
 ①温度や光が一定の恒常条件下で約24時間周期のリズム(概日リズム)が続く。
 ②温度を変えても周期は変わらない(周期の温度補償性)。
 ③温度・光などの外環境サイクルに振動が同調する。
これらの条件をすべて満たすことで,初めて概日時計は地球上での生活に役立ち,自然選択の過程で獲得され,維持されてきた。したがって,これらの特徴を裏付けている物質的基礎を説明しなければ,概日時計の謎を解明したことにならない。生命の進化の初期過程(水を分解する光合成とそれに伴う酸素発生,あるいは植物の葉緑体への発達など)を人類に示してくれたシアノバクテリアも概日リズムを示す。本稿では,シアノバクテリア(Synechococcus elongatus PCC 7942)の時計システムの研究について解説する。

参考文献

1)Johnson CH, Elliott J, Foster R et al:Fundamental properties of circadian rhythms. In Dunlap JC, Loros JJ, DeCoursey PJ, eds:Chronobiology:Biological Timekeeping, pp67-105. Sinauer Associates, Inc. Publishers, Massacchusetts, 2004
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. 22:2127-2134, 2003
. 111:4455-4460, 2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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