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特集 時間生物学の新展開
中枢時計としての視交叉上核
著者: 黒岩沙也華1 岡村均12
所属機関: 1京都大学大学院薬学研究科システムバイオロジー分野 2
ページ範囲:P.517 - P.521
文献購入ページに移動生体リズムの理解は,時計遺伝子(clock genes)が発見されたことで大本から変わってしまった1,2)。時をつかさどる時計遺伝子は,通常の細胞にある数個の転写因子の一群であり,数千もの遺伝子を周期的に発現させて,細胞周期,エネルギー代謝を時間的オーダーで管理している。すなわち,時を刻む時計遺伝子の時間装置は全身の細胞にあり(細胞時計),生体リズムは全身の細胞で出現することがわかったのである。では,これまで生体リズムの発振中枢とされてきた視交叉上核(suprachiasmatic nucleus;SCN)の役割は何なのであろうか?
たとえ全身の細胞に時間装置があっても,これまでに得られた,「SCNを破壊すると生体リズムは完全に止まる」というSCNの重要性を示すデータは覆らない3,4)。完全に全身の時計が止まっている
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