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文献詳細

雑誌文献

生体の科学67巻6号

2016年12月発行

特集 時間生物学の新展開

ヒト睡眠の調節機構

著者: 内山真1

所属機関: 1日本大学医学部精神医学系

ページ範囲:P.546 - P.549

文献概要

Ⅰ.脳を休ませるしくみ
 睡眠は環境によりよく適応するため,生物が進化の過程で獲得してきた行動的休息である。20世紀半ばまで,睡眠は上行性網様態賦活系を主とする覚醒機構が疲労して,受動的に活動低下に陥った状態と考えられてきた。その後,レム睡眠の発見に始まる睡眠科学の発展により,睡眠は脳の一様な活動低下ではなく,レム睡眠,ノンレム睡眠はそれぞれ異なった能動的休息過程であることがわかり,そのメカニズムが次第に明らかになってきた1)。これまでの知見をまとめると,睡眠調節には三つのシステムが働いている。第一は,睡眠恒常性維持機構,脳の疲労に応じて睡眠を発現するシステム,第二は体内時計機構,つまり夜になると睡眠を発現させるシステム,第三に,覚醒保持機構,覚醒が必要とされるときには睡眠を抑えるシステムである2)。本稿では,この三つのシステムについて生理学的観点から述べる。

参考文献

1)Dement DC:History of sleep physiology and medicine. In Kryger MH, Roth T, Dement WC, eds. Principles and Practice of Sleep Medicine, fifth edition, pp3-15. Elsevier Saunders, Philadelphia, 2010
2)Borbely A, Achermann P:Sleep homeostasis and models of sleep regulation. In Kryger MH, Roth T, Dement WC, eds. Principles and Practice of Sleep Medicine, fifth edition, pp431-444. Elsevier Saunders, Philadelphia, 2010
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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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