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文献詳細

雑誌文献

生体の科学68巻1号

2017年02月発行

文献概要

特集 大脳皮質—成り立ちから機能へ

大脳皮質の再生─分子技術と神経発生生物学の融合によるアプローチ

著者: 味岡逸樹12

所属機関: 1東京医科歯科大学脳統合機能研究センター 2科学技術振興機構さきがけ「分子技術と新機能創出」

ページ範囲:P.38 - P.42

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 大脳皮質は運動,知覚,記憶などの統括司令塔としての機能を持ち,“ヒトが人たるゆえん”が潜んでいる。したがって,「大脳皮質の再生」というタイトルは,人格や学習の人為的操作をも連想させるが,本稿では,脳損傷や変性疾患で失われた機能の回復に焦点を絞り,大脳皮質の人為的再生を議論する。
 脳損傷とは,外傷性脳損傷だけでなく,脳血管の梗塞や出血を原因とする脳卒中も含み,例えば,血管梗塞によって運動野が損傷されれば,対側の麻痺が起こる。一方,変性疾患は特定のニューロンが徐々に死滅する疾患で,例えば,アルツハイマー病では大脳皮質ニューロンが死滅し,認知障害などが起こる。高齢者に多い脳損傷や変性疾患は,患者や家族のQOL低下にとどまらず,急速な少子高齢化に直面している先進諸国において様々な社会問題を引き起こす要因となっている。したがって,その治療法開発は,従来の方法論を超えた様々な研究アプローチ,そして,多くの研究者の叡智を統合して進められるべき課題であることに疑いの余地はない。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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