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文献詳細

雑誌文献

生体の科学68巻1号

2017年02月発行

文献概要

連載講座 生命科学を拓く新しい実験動物モデル−10

ゼブラフィッシュ─表現型基盤型薬剤スクリーニングへの利用

著者: 西谷直之1 奥裕介1

所属機関: 1岩手医科大学薬学部情報薬科学講座

ページ範囲:P.74 - P.79

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 酵素活性のin vitro評価などを基盤とするハイスループットスクリーニングが,新薬開発を加速させることが期待されているが,その成功率が低い状況は依然として続いている。トムソン・ロイターの調査によれば,2008-2009年の第Ⅱ相臨床試験の成功率は18%であり,以前の調査(2006-2007年,28%)に比して減少傾向である1)。臨床試験失敗の主要な原因は“不十分な薬効”であり,第Ⅱ相試験で失敗原因の51%1),第Ⅲ相試験では66%2)を占める。多額な費用をつぎ込む臨床試験の失敗の原因が,非臨床段階の初期にあることを示しており,その傾向はその後も続いている3)。新しい作用機序を有し,目覚ましい治療効果を示す薬剤が結果的に治験の成功率を上げると考えられるが,現在広く行われている標的分子基盤型の薬剤スクリーニングでは,画期的新薬(first-in-class drug)にたどり着く可能性は低い。1990-2008年に承認されたfirst-in-class低分子医薬品の半数以上は,表現型基盤型の薬剤スクリーニングによって発見された。他方,標的分子基盤型スクリーニングに由来する薬剤は,first-in-class低分子医薬品の34%にとどまり,改良型医薬品(follower drug)の51%を占める4)。画期的創薬における手詰まり感のある状況下で,表現型基盤型スクリーニングによるfirst-in-class薬剤発見への期待が高まっている。

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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