文献詳細
特集 細菌叢解析の光と影
Ⅲ.腸内細菌
文献概要
ヒトの腸内常在菌の構成は極めて個人差が大きいために,腸内常在菌が棲む場である大腸はヒトの臓器のなかで最も種類の多い疾患が発症する場とされている。腸内常在菌を構成している細菌が直接腸管壁に働き,消化管の構造・機能に影響し,宿主の栄養,薬効,生理機能,老化,発がん,免疫,感染などに極めて大きな影響を及ぼすことになる。腸内常在菌が産生した腐敗産物(アンモニア,硫化水素,アミン,フェノール,インドールなど),細菌毒素,発がん物質(ニトロソ化合物など),二次胆汁酸などの有害物質は腸管自体に直接障害を与え,発がんや様々な大腸疾患を発症すると共に,一部は吸収され長い間には宿主の各種内臓に障害を与え,発がん,肥満,糖尿病,肝臓障害,自己免疫病,免疫能の低下などの原因になるであろうと考えられている。
更に,腸内常在菌は年齢や性別,生活習慣による個人差が極めて大きい。腸内常在菌は食物の消化・吸収だけでなく,免疫系や神経系の働きとも密接にかかわっているため,こうした個人差から有用な情報が得られれば,健康維持の手がかりとなる。
更に,腸内常在菌は年齢や性別,生活習慣による個人差が極めて大きい。腸内常在菌は食物の消化・吸収だけでなく,免疫系や神経系の働きとも密接にかかわっているため,こうした個人差から有用な情報が得られれば,健康維持の手がかりとなる。
参考文献
. 63:4516-4522, 1997
. 5:e10667, 2010
. 27:961-979, 1974
. 444:1027-1031, 2006
掲載誌情報