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特集 細菌叢解析の光と影 Ⅲ.腸内細菌
腸管上皮細胞が発現するα1,2-フコースを介した腸内微生物叢制御
著者: 松尾謙蔵1 後藤義幸123
所属機関: 1千葉大学真菌医学研究センター感染免疫分野微生物・免疫制御プロジェクト 2東京大学医科学研究所国際粘膜ワクチン開発研究センター粘膜共生学分野 3国立研究開発法人日本医療研究開発機構AMED-PRIME
ページ範囲:P.132 - P.135
文献購入ページに移動これまで,腸管上皮細胞や免疫細胞は粘液や抗菌物質,抗体などを産生することで,腸内細菌を管腔内へ封じ込めているとされてきた。また,これらの宿主免疫因子は,更に腸内細菌の恒常性を制御している。例えばIgA抗体が欠失したAID欠損マウスでは,セグメント細菌(segmented filamentous bacteria;SFB)が異常増殖することが報告されている4)。これらの免疫因子にくわえて,腸管上皮細胞はその細胞表面に多数の糖鎖構造を有しており,それらの糖鎖を介して腸管微生物と相互作用することが知られている。なかでも,糖鎖の末端に付加されるα1, 2-フコースは,腸内細菌だけでなく病原性細菌やウイルスとも相互作用し,腸管の恒常性維持に深く関与している5)。本稿では,腸管上皮細胞が発現するα1, 2-フコースに着目し,その誘導機構や機能,微生物との相互作用を紹介することで,腸管における微生物と宿主の相互作用について,その有用性と今後の課題について議論してみたい。
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