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文献詳細

雑誌文献

生体の科学68巻2号

2017年04月発行

文献概要

特集 細菌叢解析の光と影 Ⅲ.腸内細菌

腸内細菌由来代謝産物ポリアミンの機能性と濃度コントロール

著者: 松本光晴1

所属機関: 1協同乳業株式会社研究所技術開発グループ

ページ範囲:P.140 - P.145

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 腸内細菌と健康/疾病の関連性を研究するにあたり,長年,菌種構成を調べるアプローチが盛んに行われてきた。菌叢解析は,選択培地を駆使した培養法ののち,1990年代後半から16S rRNA遺伝子をターゲットに,フラグメント解析を中心とした網羅的解析が主流になり,2000年代後半からは次世代型DNAシーケンサー(next generation sequencer;NGS)を用いたメタゲノム解析へと変遷し,世界中で多くの研究成果が発表されている。
 一方,腸内細菌由来代謝産物も重要なファクターであることは言うまでもない。機器分析技術の進展により,より広範囲の低分子代謝産物を網羅的に解析するメタボロミクスが可能になり,筆者らはキャピラリー電気泳動-飛行時間型質量分析装置(CE-TOFMS)メタボロミクスによって,腸内菌叢の影響を受ける代謝産物を世界に先駆け検出した1)。また,代謝産物のなかでも生理活性が高いポリアミンに着目し,腸内細菌の代謝をコントロールして腸内ポリアミン濃度を高める技術開発を行ってきた2)。筆者はこの過程で,培養法からNGSまでのほとんどの菌叢解析方法を経験し,その長所・短所,成果・課題を自分なりに認識し,腸内菌叢解析から腸内菌叢由来代謝産物にターゲットをシフトさせて研究を進めてきた。本稿では,筆者が実施してきた研究成果を中心に紹介しながら,本特集テーマである腸内菌叢研究の影(課題)についても述べたい。

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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