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文献詳細

雑誌文献

生体の科学68巻2号

2017年04月発行

文献概要

特集 細菌叢解析の光と影 Ⅳ.ゲノム進化・メタゲノム

環境ゲノム解析の歴史と海洋・地下環境から探るアーキアと真核生物の関係

著者: 布浦拓郎1

所属機関: 1海洋研究開発機構海洋生命理工学研究開発センター

ページ範囲:P.146 - P.149

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 Carl R Woeseらによるアーキア(Archaea:古細菌)の発見1)以降,アーキア,バクテリア,真核生物の三者関係に関する熱い議論が続いている。rRNAや保存性の高い機能遺伝子を対象とした系統解析,更に,培養株のゲノム上の複製,転写,翻訳,修復,細胞分裂などにかかわる“真核生物型”遺伝子の分布は,真核生物はバクテリアよりアーキアに近いことを示すが2,3),真核生物の起源に関する議論の終結には至っていない(図1)。ところが,近年,シーケンス技術と情報解析技術の進歩により,真核生物固有とされてきた機能に関する遺伝子が海洋や地下環境の環境ゲノム解析によって未培養系統群アーキアから続々と発見され,この情況が変わりつつある。
 進化研究や微生物生態研究はもちろん,腸内細菌の解析など,医療分野まで広く普及した微生物多様性解析,そして環境ゲノム解析であるが,歴史を紐解けば,WoeseらのrRNAを指標とした生物分類の試み以降,1980年代より培養を経ない微生物生態系の解析手法として発展してきた。なかでも,米国の海洋微生物生態学者の果たした役割は非常に大きい。本稿では,海洋微生物研究において発展した微生物多様性解析・環境ゲノム解析の歴史を紹介すると共に,海洋・地下環境に生息するアーキアの環境ゲノム解析に基づく真核生物の起源に関する新しい知見を紹介する。

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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