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特集 細菌叢解析の光と影 Ⅳ.ゲノム進化・メタゲノム
ヒト腸内細菌叢のメタゲノム解析
著者: 大島健志朗1 西嶋傑12 服部正平13
所属機関: 1東京大学大学院新領域創成科学研究科メタゲノム情報科学研究室 2産業技術総合研究所生体システムビッグデータ解析オープンイノベーションラボラトリ 3早稲田大学理工学術院先進理工学研究科
ページ範囲:P.165 - P.169
文献購入ページに移動メタゲノム解析には大量の塩基配列データが必要になるが,2005年以降に従来のサンガー法を使用したキャピラリー式シークエンサーとは根本的に異なる原理で,安価で迅速に大量の塩基配列データ取得が可能な次世代シークエンサー(next generation sequencer;NGS)が開発されてきている。2005年にロシュ・ダイアグノスティックス社の454が登場し,それ以降もイルミナ社HiSeq,MiSeq,NovaSeqや,ライフテクノロジーズ社(現サーモフィッシャーサイエンティフィック社)Ion PGM,Ion Protonなどが実用化されている。これらは非常に膨大な量の塩基配列を高速に読み取ることが可能であり,従来のキャピラリー型シークエンサーと比較して,数千〜数万倍の解析能力を持つ。また,技術の改良も早く,各社とも半年から1年おきに試薬の改良や装置,ソフトウェアのバージョンアップなどが行われている。NGSの共通する特徴として,短いリードでサンプルを大量に超並列処理するところにある。また,それを可能とするために従来のサンガー法ではなく,メーカー各社が独自のシークエンス反応技術を採用してハイスループット化を実現している。NGS技術を用いることにより,ヒト常在細菌叢のメタゲノム解析は大きく進捗しつつある。本稿では,メタゲノム解析によるヒト腸内常在細菌叢の解析について解説する。
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