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文献詳細

雑誌文献

生体の科学68巻3号

2017年06月発行

文献概要

特集 核内イベントの時空間制御 Ⅱ.トランスクリプトーム解析,転写後制御

核内構造と核局在長鎖ノンコーディングRNA

著者: 水谷玲菜1

所属機関: 1東京大学アイソトープ総合センター研究開発部門

ページ範囲:P.220 - P.224

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 細胞核内では,転写やRNAのスプライシングといった様々な遺伝子発現制御が行われている。細胞核内は高度に組織化されていることが知られており,各染色体を構成するゲノムDNAは“染色体テリトリー”と呼ばれる固有の核内領域に局在化している。更に,染色体テリトリーの間には,RNAやタンパク質で形成される核内構造体という膜を持たない構造体(核ボディーなどとも呼ばれる)が存在する(図1)。核内構造体は転写やプロセシングに関与する複合体の生合成の場,あるいは染色体と相互作用することで効率的に遺伝子発現を制御する場になると考えられている。また,核内構造体は発生,分化,細胞周期,ストレス存在下など,細胞の状態の変化に伴い出現,消失,変化することが知られ,細胞の状態に応じてダイナミックに変化する。核内構造体の挙動や機能を理解することは,細胞状態の変化に伴う遺伝子発現制御機構を理解するうえでも非常に重要であると言える。
 これら構造体の構成因子として,長鎖ノンコーディングRNAが近年注目されている。ノンコーディングRNAとはタンパク質をコードしないRNA群の総称であり,micro RNAに代表される低分子ノンコーディングRNAと200塩基長以上の長鎖ノンコーディングRNAに大別される。本稿では,核内構造体のなかでも長鎖ノンコーディングRNAを構成因子として有するものに着目し,核内構造体を介した遺伝子発現制御機構と長鎖ノンコーディングRNAの役割を中心に紹介したい。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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