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特集 血管制御系と疾患
特集「血管制御系と疾患」によせて
著者: 澁谷正史1
所属機関: 1上武大学
ページ範囲:P.284 - P.284
文献購入ページに移動 われわれ脊椎動物において,血管系は物質輸送の極めて重要なネットワークを形成している。各組織特有の細胞群が十分に働けるために,栄養と酸素を常に運搬すると共に,不要物の回収と廃棄を効率良く行っている。まさに現代社会の輸送網を体内で再現しているイメージである。更に,血管とリンパ管が発生早期からどのように成立し,また成熟期においてはどのようにして脳や腎臓,肝臓など各組織特異的な血管・組織相互作用を成立させるのかを考えると,血管系の持つ複雑性や多様性の奥の深さに大きな驚きを持たざるを得ない。
このように身体のほとんどの組織が血管系に依存していることから,血管と様々な疾患が互いに深く関係することは病理学的にも以前から指摘されていた。腫瘍増殖に血管系が重要な役割を果たすとの仮説は米国のJ. Folkman博士が40年以上前に提唱したが,当時は血管制御分子の実態が不明であったため,創薬に結びつけることができなかった。
このように身体のほとんどの組織が血管系に依存していることから,血管と様々な疾患が互いに深く関係することは病理学的にも以前から指摘されていた。腫瘍増殖に血管系が重要な役割を果たすとの仮説は米国のJ. Folkman博士が40年以上前に提唱したが,当時は血管制御分子の実態が不明であったため,創薬に結びつけることができなかった。
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