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特集 血管制御系と疾患
生理活性脂質と脈管新生
著者: 馬嶋正隆1 天野英樹1 細野加奈子1 伊藤義也1
所属機関: 1北里大学大学院医療系研究科分子薬理学
ページ範囲:P.304 - P.308
文献購入ページに移動一方,血管新生に加えて,リンパ管新生の病態生理学的な意義に,急速に注目が集まりつつある。従来の考えでは,がんのリンパ行性転移は,既存のリンパ管に浸潤到達した腫瘍細胞が移行することにより起こるとされてきたが,血管と同様に間質ストローマ,更には腫瘍組織においてリンパ管が新生し,それへ腫瘍細胞が移行するとの見方が重要視されてきている。リンパ管新生に血管内皮細胞増殖因子VEGF(vascular endothelial growth factor)のアイソフォームであるVEGF-Cが重要な役割を持つことが報告され,炎症性サイトカインIL-1によりVEGF-Cがup-regulateされるという報告がある。すなわち,炎症反応とリンパ管新生がリンクし,血管新生と同様に炎症反応の制御を介したリンパ管新生の抑制が,がんの浸潤および転移の抑制に有効であることが大いに期待できる。
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