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特集 血管制御系と疾患
消化器がんと血管新生阻害薬
著者: 今野弘之1 松本知拓2
所属機関: 1浜松医科大学 2浜松医科大学医学部外科学第二講座
ページ範囲:P.324 - P.328
文献購入ページに移動消化器がん領域においても血管新生阻害薬は既に日常診療に必須の薬剤となっている。血管新生阻害治療は腫瘍の栄養と酸素を絶つ,いわゆる“兵糧攻め”であることから,当初,あらゆる固形腫瘍に有効な薬物治療となることが期待され,実際に種々の血管新生阻害薬を用いた実験的検討では,概ね腫瘍の種類を問わず一定の抗腫瘍効果が示された。しかし,これらの前臨床結果を得て開始された臨床試験は予想とは異なる結果となり,日常診療における血管新生阻害薬の“立ち位置”は,がん種により全く異なるものとなっている。例えば,大腸癌に対してはkey drugの一つと位置づけられているが,食道癌,膵臓癌に対して保険収載されている薬剤はない。また,固形腫瘍の増殖に血管新生が必須であることを考えれば単剤でも有効であるはずであるが,標的分子が単一である抗体医薬単独で有効性が認められているのは胃癌におけるramucirumabのみである。消化器がんに対して単剤での使用が認められているそれ以外の薬剤は,すべてtyrosine kinase inhibitor(TKI)で,複数の標的分子を有しており腫瘍血管新生阻害作用も認められるため,広義の血管新生阻害薬に分類されている。
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