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連載講座 生命科学を拓く新しい実験動物モデル−13
カイメンを用いた幹細胞研究
著者: 船山典子1
所属機関: 1京都大学大学院理学研究科生物科学専攻生物物理学教室
ページ範囲:P.358 - P.364
文献購入ページに移動 ES細胞やiPS細胞を用いた研究が進み,多能性幹細胞という言葉を頻繁に目にするようになった。多細胞動物のなかにはもともと多能性・全能性幹細胞を持ち,多能性・全能性の維持や分化を制御し,体の恒常性の維持ばかりでなく,再生,無性生殖に用い,生殖細胞も体性幹細胞に由来している動物も多数存在する。プラナリア,ヒドラ,カイメンなどがそのような動物の代表であるが1-3),これらの動物に多能性・全能性幹細胞を自在に制御する細胞・分子機構を学べるはずである。なかでもカイメン動物は全能性幹細胞を持ち,また現存する多細胞動物のなかで最も進化系統樹の根元に位置づけられており,幹細胞の進化や起源的な分子基盤を明らかにするために非常に重要である。筆者らは研究開始当時,分子生物学的な解析がほとんどされていなかったカイメン研究分野において,分子生物学的な解析が必須と考え,一つひとつ実験法を確立して解析を進めてきた。
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