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文献詳細

雑誌文献

生体の科学68巻4号

2017年08月発行

文献概要

実験講座

新しい技術─電界撹拌装置「ヒスト・テック®R-IHC®」による免疫組織化学染色の原理および臨床・研究応用への展開

著者: 森谷純1 谷野美智枝1 津田真寿美1 田中伸哉1

所属機関: 1北海道大学大学院医学研究科病理学講座腫瘍病理学分野

ページ範囲:P.365 - P.370

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 1967年にNakaneらがHRP(horse radish peroxidase)を抗体に付けて,酵素反応により可視化する方法を開発1)したことを皮切りに,1980年代に病理診断の現場に免疫染色が取り入れられ,現在では必要不可欠なものとなっている。免疫染色の自動化が進み,その所要時間は通常約2-3時間で,それ以前の“手染め”に比べ格段に時間と手間が軽減された。術中迅速病理診断時にも免疫染色の応用が期待されたが,そのクオリティーは決して満足すべきものではなかった。迅速に免疫染色を行うため,抗体濃度は通常希釈濃度と比較し高濃度にする必要があり,コストパフォーマンスの悪さも懸念されていた。マイクロウェーブや超音波などを用いる方法など様々なものが提案されてきた2-4)が,いずれも医療現場に広く普及するものではなかった。このようななか,2014年5月に迅速免疫染色(rapid immunohistochemistry;R-IHC)が可能な電界撹拌技術を搭載した装置ヒスト・テック®R-IHC®,通称ラピートが発売された(図1A)。本稿ではその原理,利点,診断,研究への応用について概説する。

参考文献

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13)森谷 純,谷野美智枝,竹浪智子 他:第62回日本病理学会秋期特別総会抄録集.2016
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16)田中伸哉,津田真寿美,谷野美智枝:ホルマリン固定生体組織内での活性型低分子量GTP結合蛋白質検出方法.特願:2015-043171

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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