文献詳細
増大特集 細胞多様性解明に資する光技術─見て,動かす
Ⅱ.見えなかったものを視る
文献概要
多数の機能性ノンコーディングRNAが発見されたこともあり,近年RNAの細胞内機能が非常に注目されている。RNAをin vitro で検出する手法としてはqPCRやRNA-seqなど,数多くの手法が知られている。それに対し,生細胞内でRNAを検出する手法については幾つかの手法が知られているものの,まだ確立されたとは言い難いのが現状である。蛍光色素で修飾した核酸プローブを利用する手法は設計が容易であり,またターゲットRNA非存在下での発光を消光できるなどの特長がある。しかしながら,従来の大半の核酸プローブはDNA骨格を利用していたために,生細胞では利用が困難であるという問題点があった。核酸プローブが細胞内で機能するためには,①ターゲットRNAとの高い親和性が必要となるだけではなく,②細胞ヌクレアーゼに対する耐性も必要となる。そのため,これまでも2’-メトキシRNA(2’-OMe RNA)やLNAなどの人工核酸を利用したプローブが報告されてきた1)。一方,筆者らは人工核酸であるセリノール核酸(SNA)を利用した核酸プローブの開発を行っている。本稿ではSNAが持つユニークな特徴,およびそれを利用した核酸プローブについて概説する。
参考文献
. 3:395-408, 2013
. 50:1285-1288, 2011
. 14:303-308, 1996
. 16:1298-1301, 2015
掲載誌情報