増大特集 細胞多様性解明に資する光技術─見て,動かす
Ⅱ.見えなかったものを視る
生細胞内RNAイメージングのための人工核酸
著者:
樫田啓1
浅沼浩之1
所属機関:
1名古屋大学大学院工学研究科生命分子工学専攻
ページ範囲:P.440 - P.441
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多数の機能性ノンコーディングRNAが発見されたこともあり,近年RNAの細胞内機能が非常に注目されている。RNAをin vitroで検出する手法としてはqPCRやRNA-seqなど,数多くの手法が知られている。それに対し,生細胞内でRNAを検出する手法については幾つかの手法が知られているものの,まだ確立されたとは言い難いのが現状である。蛍光色素で修飾した核酸プローブを利用する手法は設計が容易であり,またターゲットRNA非存在下での発光を消光できるなどの特長がある。しかしながら,従来の大半の核酸プローブはDNA骨格を利用していたために,生細胞では利用が困難であるという問題点があった。核酸プローブが細胞内で機能するためには,①ターゲットRNAとの高い親和性が必要となるだけではなく,②細胞ヌクレアーゼに対する耐性も必要となる。そのため,これまでも2’-メトキシRNA(2’-OMe RNA)やLNAなどの人工核酸を利用したプローブが報告されてきた1)。一方,筆者らは人工核酸であるセリノール核酸(SNA)を利用した核酸プローブの開発を行っている。本稿ではSNAが持つユニークな特徴,およびそれを利用した核酸プローブについて概説する。