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文献詳細

雑誌文献

生体の科学68巻6号

2017年12月発行

特集 心臓の発生・再生・創生

Ⅰ.心臓の発生と進化

心臓血管形成における神経堤細胞

著者: 宮川-富田幸子123

所属機関: 1ヤマザキ学園大学動物看護学科 2東京大学大学院医学研究科代謝生理 3東京女子医科大学循環器小児科

ページ範囲:P.525 - P.530

文献概要

 脊椎動物に特徴的な神経堤細胞は,1868年Wilhelm His(ドイツ)がニワトリ胚の表皮外胚葉と神経上皮に介在する神経節原基の細胞群を間索Zwischenstrangと記載したことから注目され始めた。神経堤細胞は初期胚の背側にある神経外胚葉(神経板)とその周囲の表皮外胚葉とのクロストークによって両方の外胚葉から派生する細胞群で,分化能,移動能を持ち可塑性を示す。移動前から多能性に富んだ能力を持つ1)ことが示されていることから多能性幹細胞と呼ばれ,非常に多くの細胞に分化するため外胚葉,中胚葉,内胚葉の3胚葉に続く,第4の胚葉とも呼ばれる。神経堤細胞の研究にはこれまで主にニワトリなどの脊椎動物が使われてきたが,最近では神経堤をマークするマウスとして主にWnt1-CreP0-Creレポーターマウスがよく使われ,その他AP2α-CreSox10-CrePax3-CreHtPA-CrePlexinA2-CreTfap2αIRESCreIsl1-CreCx43などの神経堤レポーターマウスがある。これらのマウスでは,ラベルされた神経堤細胞の分布パターンに違いがある一方,すべてのマウスモデルはウズラ-ニワトリキメラで示された主な移動パターンに類似して心血管系形成に関与することが裏付けられている。本稿では心臓形態形成にかかわる神経堤細胞について概説する。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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