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文献詳細

雑誌文献

生体の科学69巻1号

2018年02月発行

文献概要

特集 社会性と脳

ヒトに対するイヌの共感性

著者: 菊水健史1

所属機関: 1麻布大学獣医学部動物応用科学科伴侶動物学研究室

ページ範囲:P.33 - P.37

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 イヌ(Canis familiaris)とヒトの関係は,他のどの動物よりも深い。現在,わが国における飼育頭数は1,100万頭にも達し,実に15%の世帯でイヌが飼育され,数字上は6世帯に1世帯が飼育していることになる。しかし,われわれはこの“人間の最良の友”に関して,さほど多くのことを理解しているわけではない。イヌとヒトは遺伝的には距離があるものの,濃密なコミュニケーションが成立する,まさに“最も近い友人”どうしであると言えるかもしれない。ヒトとイヌの長い共生の過程において,お互いの情報を共有し,相手個体の意図を理解することは,共同生活を送るための大切な要素であったろう。更にイヌは,ヒトの情動の変化を読み取って行動を選択することも身につけたと想像できる。例えば飼い主が怒っているときには距離をとって安全を確保し,喜んでいるときにはそばに近づくことで,報酬を受け取るチャンスを増大させたとも考えられる。このことから,イヌのヒトに対する共感性を考える際には,イヌの進化と家畜化の過程,特に選択圧となった行動や認知機能を明らかにし,情動の伝達が機能し得るかを調べることが必要である。

参考文献

1)大神英裕:6章 人の乳幼児期における共同注意の発達と障害.遠藤利彦(編):読む目・読まれる目 視線理解の進化と発達の心理学,pp.157-178.東京大学出版会,東京,2005
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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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