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特集 生体膜のバイオロジー
特集「生体膜のバイオロジー」によせて
著者: 栗原裕基1
所属機関: 1東京大学大学院医学系研究科代謝生理化学分野
ページ範囲:P.192 - P.192
文献購入ページに移動 生体膜は細胞内外の界面,あるいは細胞内の異なる分子環境の界面として,物質やエネルギー,情報の授受にかかわる細胞の基本構造である。生命現象を生体膜によって区画化された多様なコンパートメント間の連携ネットワークと捉えると,生体膜研究は脂質二重層構造に関する特定対象の研究にとどまらず,生命現象全般の理解に1つの視座を与える共通基盤領域であるということができる。本特集ではこうした「生体膜研究を通して多様な生命現象を捉える」という観点から,理論,構造,動態,機能,新技術に至る様々な生体膜研究を代表する第一線の研究者にトピックスを解説していただいた。
理論の側面からは,鈴木(宏)論文において脂質二重膜のでき方とその物理的性質かがわかりやすく解説され,立川・望月論文ではこうした生体膜の物理的性質に基づいたオルガネラ形態の数理モデルが現段階での問題点と共に示されている。生体膜が作る構造として,西村・末次論文ではタンパク質を介した脂質膜の曲面形成機構が,大﨑論文では細胞質や核内に存在する脂肪滴の形成機構と役割が,鈴木(健)論文では1分子イメージングによって大きく変わりつつあるラフトの概念について,それぞれ解説されている。更にこうした生体膜構造の動的側面として,下川・高木論文では脂肪酸組成の変化による相分離からラフト生成機構に迫る研究が紹介されている。また,物質輸送を担う生体膜の動態として,田口論文ではエンドソームがどのようにリサイクルされて細胞内物流に寄与し,機能破綻でどのような疾患が引き起こされるのか,高橋論文では多様な速さや様式をとるエクソサイトーシスがどのような分子機構によって担われているかが解説されている。
理論の側面からは,鈴木(宏)論文において脂質二重膜のでき方とその物理的性質かがわかりやすく解説され,立川・望月論文ではこうした生体膜の物理的性質に基づいたオルガネラ形態の数理モデルが現段階での問題点と共に示されている。生体膜が作る構造として,西村・末次論文ではタンパク質を介した脂質膜の曲面形成機構が,大﨑論文では細胞質や核内に存在する脂肪滴の形成機構と役割が,鈴木(健)論文では1分子イメージングによって大きく変わりつつあるラフトの概念について,それぞれ解説されている。更にこうした生体膜構造の動的側面として,下川・高木論文では脂肪酸組成の変化による相分離からラフト生成機構に迫る研究が紹介されている。また,物質輸送を担う生体膜の動態として,田口論文ではエンドソームがどのようにリサイクルされて細胞内物流に寄与し,機能破綻でどのような疾患が引き起こされるのか,高橋論文では多様な速さや様式をとるエクソサイトーシスがどのような分子機構によって担われているかが解説されている。
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