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文献詳細

雑誌文献

生体の科学69巻3号

2018年06月発行

文献概要

特集 生体膜のバイオロジー Ⅳ.機能

細胞膜を介したメカノセンシング

著者: 山本希美子1 安藤譲二2

所属機関: 1東京大学大学院医学系研究科システム生理学 2獨協医科大学医学部生体医工学

ページ範囲:P.237 - P.241

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 血管の内面を覆う内皮細胞は,血流に起因する流れずり応力や血圧によって生じる伸展張力などの血行力学因子に常に曝されている。内皮細胞は流れずり応力や伸展張力などの機械的な力の変化を細胞内の生化学的シグナルに変換し,細胞内部へ伝達(メカノトランスダクション)することにより,細胞の形態や機能,遺伝子発現の変化を伴う応答を引き起こす。これらの内皮細胞応答を介して心血管系の形態や恒常性が維持されている。例えば,血流量の変化に応じて血管径が変化するリモデリングが起こるが,これは血管壁にかかる流れずり応力を一定に保つ適応反応であることが実験的に証明された1)。また,血圧や血液の凝固・線溶を制御する生理活性物質の産生が亢進するなど,細胞の機能を修飾する2)。これらの内皮細胞の力学応答が障害されると,高血圧症や血栓症,動脈瘤,粥状動脈硬化症の発生につながる3)。しかし,力学的刺激をどのように内皮細胞膜がセンシングし,その変化を細胞内の生化学的なシグナルに変換するのか,特に,流れずり応力と伸展張力を区別するメカノセンサーの本体とその感知メカニズムは不明であった。
 本稿では,細胞形質膜が流れずり応力と伸展張力を区別できるメカノセンサーとして機能するという,内皮細胞のメカノトランスダクションの新しい概念を紹介する。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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