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文献詳細

雑誌文献

生体の科学69巻3号

2018年06月発行

文献概要

特集 生体膜のバイオロジー Ⅴ.新技術

マイクロデバイスを利用した人工脂質二重膜によるタンパク質機能解析

著者: 神谷厚輝1 竹内昌治12

所属機関: 1神奈川県立産業技術総合研究所人工細胞システムグループ 2東京大学生産技術研究所

ページ範囲:P.252 - P.257

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 細胞膜は,厚さ約5nmから成るリン脂質二重膜から構成されている。このリン脂質二重膜は,疎水性の隔壁として働くため,極性の持つ水分子は透過しにくく,分子量の大きな分子(アミノ酸や糖)は透過できない。細胞膜には膜タンパク質が埋め込まれており,この膜タンパク質が物質輸送,エネルギー産生,情報伝達・変換といった細胞内外の重要な生体反応を担っている。膜タンパク質は受容体,チャネル,トランスポータなどの種類を有しており,膜貫通回数や構造も多種多様である。膜タンパク質はがんなどの重篤な疾病に関係していることから,国内外の多くの研究者によって膜タンパク質の構造と機能解析研究が行われている。薬剤ターゲット全体の半分が膜タンパク質であり,Gタンパク質共役受容体(G protein-coupled receptor;GPCR)が33%であり,イオンチャネルが18%である1)。細胞膜には,非常に多種類の膜タンパク質が存在しているため,目的の膜タンパク質の動作機序の素反応の解析は難しい。
 そこで,リン脂質二重膜から形成された人工膜に目的の膜タンパク質のみを再構成し,素反応や薬剤応答の研究が盛んに行われている2)。特に,人工球体膜はリポソームと呼ばれている。リポソームは閉鎖小胞であるため,リポソーム内に物質を封入することが可能である。したがって,ナノサイズリポソームはドラッグデリバリーシステムの担体として利用されている。これまで,人工膜は自己組織的な手法によって作製されてきたが,再現性や均一性やハイスループット性などに問題があった。そこで,近年,化学・生物分析分野で用いられているマイクロデバイスの手法が,人工膜作製にも取り入れられるようになってきた。本稿では,筆者らが開発してきたマイクロデバイスを用いて作製した平面と球体人工脂質二重膜によるタンパク質機能解析について紹介する。

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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