文献詳細
文献概要
連載講座 生命科学を拓く新しい実験動物モデル−16
絶滅危惧種アマミトゲネズミのiPS細胞
著者: 本多新1
所属機関: 1京都大学大学院医学研究科附属動物実験施設
ページ範囲:P.263 - P.268
文献購入ページに移動 奄美大島のみに生息する国の天然記念物で絶滅危惧種のアマミトゲネズミ(図1)は,進化の過程でY染色体を失っており,極めてまれな性染色体構成(雌雄共にXO型)である。性決定様式や染色体構成,あるいは生物進化など様々な観点から,たいへん興味深い研究対象であるが,その希少性からアマミトゲネズミの直接解析は現実的でなく,多くの謎が未解明のままである。
筆者らはメスのアマミトゲネズミ尾部先端の細胞からiPS細胞を樹立し,マウスとの異種間キメラ作製を介してアマミトゲネズミの卵子と精子を作ることに成功した。このことは,アマミトゲネズミが性染色体進化の過程で獲得した能力を反映していただけでなく,種の完全絶滅に備えるための一手段として,iPS細胞の活用が有効であることも示唆している。
筆者らはメスのアマミトゲネズミ尾部先端の細胞からiPS細胞を樹立し,マウスとの異種間キメラ作製を介してアマミトゲネズミの卵子と精子を作ることに成功した。このことは,アマミトゲネズミが性染色体進化の過程で獲得した能力を反映していただけでなく,種の完全絶滅に備えるための一手段として,iPS細胞の活用が有効であることも示唆している。
参考文献
. 28 Oct. 2016, doi:10.1038/nature. 2016.20898
. 280:20132075, 2013
. 119:519-526, 2010
. 107:9222-9227, 2010
. 142:787-799, 2010
. 16:397-405, 2011
. 427:106-120, 2017
. 102:4039-4044, 2005
. 3:e1602179, 2017
掲載誌情報