文献詳細
文献概要
特集 いかに創薬を進めるか
特集「いかに創薬を進めるか」によせて
著者: 野々村禎昭1
所属機関: 1東京大学
ページ範囲:P.288 - P.288
文献購入ページに移動 “創薬”という言葉はわが国オリジナルであって,山之内製薬の副社長などを務めた野口照久氏が1963-4年ごろに造語されたと言われている。1990年代に入ってわが国でこの言葉は広く使われるようになった。英語でこれに相当する言葉を探すと適当な言葉はなく,科学用語はほとんどが英語からの翻訳なので“創薬”は特別な例である。英語ではDrug Discoveryが通常考えられているが,むしろDrug Discovery and Developmentがふさわしいのではないか。この意味は疾病を改善し,くい止める物質の発見,またはデザインすることから始まり,吸収,分布,代謝や毒性,副作用そして最善の投与法などが含まれる。しかし,これは後述するPreclinicalまでの意味であり,“創薬”は薬が出来上がる過程でもっとClinicalの意味を含んで広く捉えてもよいと思われる。
米国のFDAは,薬が考えだされ種々の課程を経て市販されるまでの経過をStep1;Discovery and Development. Step2;Preclinical Research. Step3;Clinical Research. Step4;FDA Review1. Step5;FDA Review2(市販以降薬物の安全性をチェック)と定義している。このDiscovery and Developmentの部分はわが国における基礎研究に相当するが,“創薬”というときは前述した広く捉えた薬開発の全課程を“創薬”と考えたほうがよいのではないだろうか。
米国のFDAは,薬が考えだされ種々の課程を経て市販されるまでの経過をStep1;Discovery and Development. Step2;Preclinical Research. Step3;Clinical Research. Step4;FDA Review1. Step5;FDA Review2(市販以降薬物の安全性をチェック)と定義している。このDiscovery and Developmentの部分はわが国における基礎研究に相当するが,“創薬”というときは前述した広く捉えた薬開発の全課程を“創薬”と考えたほうがよいのではないだろうか。
掲載誌情報