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文献詳細

雑誌文献

生体の科学69巻4号

2018年08月発行

特集 いかに創薬を進めるか

NMRで標的タンパク質の機能から創薬を

著者: 上田卓見12 嶋田一夫1

所属機関: 1東京大学大学院薬学系研究科生命物理化学教室 2JST戦略的創造研究推進事業さきがけ

ページ範囲:P.315 - P.319

文献概要

 薬物は,立体構造を形成したタンパク質に作用して,薬理作用を発揮する。薬物が作用するタンパク質の立体構造の情報は,薬物の作用機序の解明や,立体構造に基づく薬剤の探索を可能とするものであり,創薬において必須である。現在までに,X線結晶構造解析や極低温電子顕微鏡により様々なタンパク質の精緻な立体構造が多数解かれている。しかし,これらの手法で得られる立体構造は静的なスナップショットであり,生理的な溶液環境下における活性と直結した構造であるとは限らない。一方,生理的な環境下において,タンパク質が複数の立体構造の動的構造平衡状態にあることが明らかになってきている。
 核磁気共鳴法(nuclear magnetic resonance;NMR)は,溶液中におけるタンパク質の動的構造平衡を解析できる唯一の手法である。多様なNMR試料調製法およびNMR測定法を駆使することにより,タンパク質がどのような構造の間をどのような速度および量比で交換しているか,という動的構造平衡の情報を取得することが可能である。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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