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特集 いかに創薬を進めるか
RNAとエピジェネティクスからの創薬へ
著者: 佐藤亮介1 杉浦麗子1
所属機関: 1近畿大学大学院薬学研究科分子医療・ゲノム創薬学研究室
ページ範囲:P.320 - P.323
文献購入ページに移動 タンパク質をコードしない非コードRNA(ncRNA)の発見以来,生命機能を制御する機能性分子として,RNAの重要性が再認識されている。更に,がん細胞特異的に発現するmiRNAの発見や,筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis;ALS)に代表される神経変性疾患とmRNAのプロセシング異常のかかわりなど,RNA制御の異常が多様な病態の分子基盤となることが明らかにされつつある。なかでも,各種ストレスに応答して形成される凝集体である“RNA顆粒”が,翻訳やRNA分解のみならず,シグナル調節や疾患とのかかわりが解明され,新たなRNA創薬の標的として注目を集めている。また,正常な遺伝子発現には“エピジェネティック制御”が不可欠であり,エピジェネティック制御の破綻が,がんなどの難治性疾患発症の引き金となり得る。近年,このエピジェネティック制御にncRNAがかかわることが明らかにされている。
本稿では,創薬におけるRNAの位置づけやエピジェネティック創薬について概説すると共に,“RNA顆粒”を標的とした創薬戦略に関する筆者らの知見についても紹介する。
本稿では,創薬におけるRNAの位置づけやエピジェネティック創薬について概説すると共に,“RNA顆粒”を標的とした創薬戦略に関する筆者らの知見についても紹介する。
参考文献
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