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文献概要
特集 いかに創薬を進めるか
漢方からアルツハイマー病創薬へ
著者: 関隆志1
所属機関: 1東北大学サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター
ページ範囲:P.358 - P.364
文献購入ページに移動 天然物を薬物として3,000年以上の長期にわたり臨床試験を繰り返し実施して,その体験から,評価され確立されたものが漢方薬である。古来,もの忘れに対しても漢方薬による治療が行われてきた。孫思遜『千金要方』(650年ごろ)に認知症に関する記載と共に,数十の処方が載せられている。繁用された生薬は,遠志,人参,茯苓,竜骨,黄耆,桂皮,菖蒲,麦門冬,甘草,当帰,白朮,酸棗仁などである。
病態概念は,現代の医学と漢方をはじめとする伝統医学のそれは,大きく異なる。漢方薬は主に“証”という病態概念を改善するために開発されてきている。“証”は現代医学の“病”とは異なる視点で病気を捉えているため,“もの忘れ”の治療薬はあっても,アルツハイマー病のための漢方薬というものは存在しない。
病態概念は,現代の医学と漢方をはじめとする伝統医学のそれは,大きく異なる。漢方薬は主に“証”という病態概念を改善するために開発されてきている。“証”は現代医学の“病”とは異なる視点で病気を捉えているため,“もの忘れ”の治療薬はあっても,アルツハイマー病のための漢方薬というものは存在しない。
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