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文献詳細

雑誌文献

生体の科学69巻6号

2018年12月発行

文献概要

特集 細胞高次機能をつかさどるオルガネラコミュニケーション Ⅱ.ゴルジ体およびポストゴルジネットワーク

ゴルジ体を起源とする新たなオートファジー

著者: 清水重臣1

所属機関: 1東京医科歯科大学難治疾患研究所病態細胞生物学

ページ範囲:P.546 - P.550

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 オートファジーとは,細胞内の自己構成成分(不要なタンパク質や変性オルガネラなど)を分解する細胞機能である。オートファジーの研究は,肝細胞の電子顕微鏡観察中に,二重膜を有するユニークな構造体が発見されたことが端緒となって,まず形態学的解析が進められた。オートファジーの初期段階では,まず隔離膜と呼ばれる小さな二重膜の構造物が形成される。この隔離膜は伸長すると共に彎曲し,細胞質やオルガネラを囲い込み,最終的には両端が融合したオートファゴソームができあがる。オートファゴソームが形成されると,その後にリソソームが直接融合し,リソソームの消化酵素によってその内容物が消化される1)(図1)。リソソームには,カテプシンなどのタンパク質分解酵素,リソソーム酸性リパーゼ,DNaseⅡなど様々な種類の消化酵素が含まれているため,内容物はほぼ完全に消化されることとなる。
 前述した形態学的特徴が解析されたのちに,哺乳動物細胞で見いだされたオートファジーが,出芽酵母においてもみられることが明らかとなった。この酵母でのオートファジー発見は,オートファジー研究の進捗を大幅に早めることとなった。すなわち,出芽酵母の遺伝学解析によって,オートファジーにかかわる分子が次々に明らかにされ,分子生物学的,生化学的解析が容易になったのである2)。現在,酵母のオートファジー関連遺伝子を基盤として,哺乳動物におけるオートファジー機構が解き明かされつつあるが,重要な分子に関しては,その構造,機能共に酵母から哺乳動物細胞まで保存されていることから,オートファジーはあらゆる真核生物に共通に存在する普遍的な細胞機能であることが明らかとなっている。

参考文献

. 335:71-84, 2009
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. 335:1-32, 2009
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. 35:1991-2007, 2016
. 347:878-882, 2015
. 5:4004, 2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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