特集 細胞高次機能をつかさどるオルガネラコミュニケーション
Ⅱ.ゴルジ体およびポストゴルジネットワーク
オルガネラコミュニケーションと自然免疫
著者:
三澤拓馬1
齊藤達哉2
所属機関:
1
2大阪大学大学院薬学研究科生体応答制御学分野
ページ範囲:P.564 - P.567
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細胞内には,ミトコンドリアや小胞体などの様々なオルガネラ存在している。これまで,オルガネラはそれぞれが独立した機能を発揮することで細胞の機能発現や恒常性維持を推進していると考えられてきた。しかしながら,近年の研究から,オルガネラ間ではダイナミックな情報交換(コミュニケーション)が行われており,多様な生体応答に重要な役割を果たしていることが次々と明らかになっている。生体防御に不可欠な自然免疫機構の制御においても,オルガネラコミュニケーションは極めて重要な役割を果たしている。自然免疫機構は,pattern recognition receptors(PRR)と呼ばれるレセプター群を介して病原体の構成成分や生体内に生じるストレスを感知し,サイトカインやⅠ型インターフェロンを産生することにより炎症を惹起する。これまでに,Toll様受容体(Toll like receptor;TLR),RIG-I様受容体(RIG-I like receptor;RLR),NOD様受容体(NOD like receptor;NLR),cyclic GMP-AMP synthaseなどのPRRが発見されている1)。本稿では,これらのPRRを介して誘導される自然免疫応答の惹起,伝達,収束のメカニズムについて,オルガネラコミュニケーションの視座から概説する。