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連載講座 生命科学を拓く新しい実験動物モデル−17
クマムシ─極限環境耐性と静的生命の新しい研究モデル
著者: 國枝武和1
所属機関: 1東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻細胞生理化学研究室
ページ範囲:P.596 - P.602
文献購入ページに移動 クマムシという動物をご存知であろうか? 10年ほど前までは知る人ぞ知るマニアックな生物であったが,テレビやネットでもたびたび取り上げられるようになり,徐々に知られるようになってきた。マスメディアなどでは,“最強の動物”とか“何をしても死なない動物”などのように紹介されることが多いが,この世に不死身の動物などはいない。ただ,クマムシが通常の生物はとても耐えられないような様々な極限的な悪環境(ほぼ絶対零度の超低温や,真空,ヒトの半数致死量の1,000倍の放射線など)に耐えることができ,宇宙空間に曝露されても生存した初めての動物であることは事実である1)。
近年,クマムシの分子生物学的な解析を進めるための基盤が急速に整備され,動物の極限環境耐性を支える分子メカニズムへのアプローチが現実的なものになってきた。本稿では,ヒトをはるかに超える高い耐性能力を持つクマムシについて紹介させていただくと共に,最近明らかになってきたクマムシの耐性メカニズムの一端と哺乳類など他生物への応用も含めて紹介する。
近年,クマムシの分子生物学的な解析を進めるための基盤が急速に整備され,動物の極限環境耐性を支える分子メカニズムへのアプローチが現実的なものになってきた。本稿では,ヒトをはるかに超える高い耐性能力を持つクマムシについて紹介させていただくと共に,最近明らかになってきたクマムシの耐性メカニズムの一端と哺乳類など他生物への応用も含めて紹介する。
参考文献
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2)鈴木 忠:クマムシ?! 小さな怪物,岩波書店,東京,2006
3)Degma P, Bertolani R, Guidetti R:Actual checklist of Tardigrada species. http://www.tardigrada.modena.unimo.it/miscellanea/Actual checklist of Tardigrada.pdf, 2017
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9)鈴木 忠:クマムシ.針山孝彦,小柳光正,嬉 正勝 他編:研究者が教える動物飼育,第1巻,p.91,共立出版,東京,2012
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掲載誌情報