文献詳細
論述
文献概要
1932年斎藤1)は家鶏の長管状骨の骨髄より得た抽出液に血液凝固促進作用のあることを見出し,骨髄は斯かる作用を有するホルモン様物質を分泌するのではないかと考えた。其の各骨髄抽出液は臨床上にも血液凝固剤として作用される様になつた。しかし其の有効成分の化学的本質は今日迄明かにされていなかつた。そこでこの問題を教室の洪礼郷君2)に研究する様に課した所以下述べる様な事実が明らかになつた。さて本研究に於て私共が実験材料としたものはmedullanと云う製剤であるが,又次の様にしてつくる事も出来る。先ず新鮮な家鶏の長管状骨の骨髄を取り出し,脂質をアルコール,アセトン,エーテルで除いた後,生理的食塩水で抽出し,抽出液にズノヒフオサリチール酸を加えて除蛋白し濾液から過剰のズルフオサリチール酸を除いたのち濾過するのである。さてメヅラン1ccを体重2.3〜2.5kgの家兎に注射し凝固時間をSahli-Fonio法の田中氏変法3)を用いて調べて見ると正常では19.5分位のものが11〜12.5分位になり明らかに短縮する。よつてメヅラン注射液40ccを50℃で減圧濃縮し最後に真空乾燥器の中で乾固し無機塩類を取るために繰返えしアルコールで処理し,それによつて得られたアルコール溶液を合しこれを濃縮して0.2ccにする。そして有効成分がどの様な部分に含まれているかを研究するためにこれをペーパークロマトグラフイー(PPC)で分劃して見た。
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