icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学7巻3号

1955年12月発行

論述

炎症の生化学—蛋白分解酵素の活性化とその意義

著者: 林秀男1

所属機関: 1三重県立大学医学部病理学教室

ページ範囲:P.124 - P.132

文献概要

 Ⅰ.いとぐち
 炎症は刺戟(起炎物質)に対する動物組織の最も普遍的な局所反応で,主として形態学,最近では生理学・生化学の立場からもいろいろ研究されている。しかしその複雑さのためにその概念も機序もまだはつきりしない。いろいろの起炎物質—いわゆるanaphylactoid agents,抗原抗体反応も含め—が組織にはたらくと,組織細胞の変性・血管拡張(充血)・毛細脈管の透過性亢進(水,晶質,コロイドの滲出,浮腫)・リンパ管閉塞(代謝産物の蓄積,浮腫)・游離細胞の游出,浸潤,増殖(肉芽組織)という一連の変化がいつもきまつて現われる(緒方氏1),Aschoff2)によれば一定のつよさ以上におこる必要がある)。
 これらの変化は刺戟のつよさ,その作用時間,起炎物質の化学性状のちがい,局所の解剖学的なちがいなどによつて若干ちがつてくる。しかし上述の変化は一つの基本様式としてすべての"炎症"に共通しておこる変化である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら