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文献詳細

雑誌文献

生体の科学7巻3号

1955年12月発行

文献概要

報告

直接結合増幅器(1)

著者: 伊藤正男1

所属機関: 1熊本大学医学部第二生理学教室

ページ範囲:P.148 - P.152

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 1.直結増幅器の現状
 最近生理学の分野では直結増幅器の使用される事が多くなつて来た。近頃盛に行われて居る微小電極を使つた実験では静止電位と活動電位を合せて観察しようとすればどうしても直結増幅器が必要であるし,たとえそうでなくても生体の生ずる電気変動は活動電流の様な速い変動から,脳波,根電位,筋,神経の後電位の様な甚だゆるやかな変動迄種々の時間経過を持つ変動を含んで居るので,零サイクルから10〜20キロサイクル迄,一定の周波特性を持つ事の出来る直結増幅器は,生物学的研究のためには理想的な増幅器であるという事が出来よう。しかしこの様な優れた性能にも拘らず,従来直結増幅器があまり使用されなかつたのは動作が不安定で,製作したり又調整するのが厄介なためであつた。即ち交流結合増幅器では増幅帯域の外にあつて問題にならない様な,B電源,A電源の変動や真空管自身におこるゆるやかな変化等が直結増幅器では内部で増幅され,そのため増幅器の動作点がずらされ,入力と関係のない不正出力を生じて来る。この不正出力は普通"drift"と呼ばれ,そのうち電源の動揺に基くものは,電源自身を安定なものにすると同時に増幅器の構造をその変動を影響されにくい様改良する事によつて,現在大体克服されて来て居るが,真空管雑音特にflicker effectによるものは回路上の工夫によつては充分除く事が出来ず,現在これが直結増幅器の安定度の限界を決めて居ると言う事が出来よう。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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